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柳井祥緒による『平家物語』解説

十七戦地の脚本・演出担当の柳井です。
ただいま早稲田はLIFTにて上演中の作品『眠る羊』は
平家物語を下敷きに書いております。
すでにご覧頂いたお客様にも、
これからご覧頂くお客様にも
『眠る羊』をより濃く味わい楽しんで頂けるよう、
平家物語から『眠る羊』と関係の深い人物やエピソードなどを
簡単にご紹介致します。


【平家物語とは】
祇園精舎の鐘の声……で始まる古典作品。
平安時代末期、貴族支配を揺るがし武士の世を築いた平家一門の
繁栄と崩壊を描いた一大叙事詩。
「猛き者もいつかは滅びる」の一節通り、
平家だけでなく佛御前や木曾義仲ら登場人物は皆、絶頂を極め衰退していく。
【平清盛】
松山ケンイチが大河ドラマで演じた平家の頭領。
武家の一族として貴族に仕えていたが、
二つの大乱を経て最高権力者である後白河天皇(のち法皇)に接近。
貴族との縁戚関係を構築し、
莫大な財産を駆使して政治的な権力を高めていく。
日宋貿易の発展や、旧弊な貴族社会の打開に努める。
やがて後白河院を幽閉、
院の近臣を政治の中心から追いやり、平家一門で全ての権力を握った。
【平家納経】
平清盛が平家一門の繁栄を願い、厳島神社に納めたお経。
【平宗盛】
平清盛と二位の尼(平時子)の長男。
壇ノ浦の合戦で平家一門が敗れた際の頭領。
大河ドラマ『義経』では鶴見辰吾が演じる。
偉大な父・清盛、腹違いの兄で人望篤い重盛の跡を継いで頭領になったためか、
プレッシャーに押しつぶされたダメ頭領としてよく描かれる。
平家物語では壇ノ浦の戦いで敗退が決まり、一族が次々と入水する中、
海に飛び込むも泳いでしまい、敵に捕らえられたとされる。
また次男・知盛の進言を退けた結果、
平家がピンチに追い込まれるなど、何かと外してくれる。
妻が亡くなると引きこもり、自身の死の間際まで息子を案じるなど、
平家に生まれなければ良き家庭人として一生を全うしていたかもしれない。
【平知盛】
平清盛と時子の次男。
文武に長じ、清盛の信頼も篤かった。
大河ドラマ『義経』では阿部寛が好演。
壇ノ浦では最期まで奮闘。
いよいよ源氏に追いつめられると冗談を交えながらそのことを母親・時子に報告。
乳兄弟である家長とともに戦い抜き、
「見るべきものは全て見た」と言い放ち入水。
鎧を二着まとい海に没したとも、
敵を両脇に抱えて飛び込んだとも言われるが、
大河ドラマ『義経』および『平清盛』では錨を担ぎ身を投じる、
いわゆる「錨知盛」の姿で最期を迎えた。
【平重衡】
平清盛と時子の三男。
大河ドラマ『義経』では細川茂樹が演じる。
奈良で起こった反乱を鎮圧するべく興福寺・東大寺を焼き討ち、炎上させる。
平家崩壊の第一戦「一の谷の戦い」で捕虜となり、源平和解を試みるも失敗。
平家滅亡後は奈良の寺院勢力の要求で首を斬られる。
性格は明朗快活で気配りが細やか、女性にもてた。
『平清盛』では父親大好きな末っ子として描かれ、
後半では、ものすごい無邪気な笑顔で寺院焼き討ちを清盛に報告。
さすがの清盛もドン引きしながら微笑むしかなかった。
ちなみに『眠る羊』では「衝太」として登場するが、
これは「衡」の字を柳井が読み誤ったため。
気づいた時にはすでに稽古が進みすぎ、
直せなかったというトホホなエピソードあり。
以上、駆け足気味に簡単にご紹介致しました。
『眠る羊』の全ての登場人物は平家物語から多く材を得ているので、
ここに紹介した人物以外についてもお調べ頂くと新たな発見があるかもしれません。
これを機会に『平清盛』一気観とかもいかがでしょうか。
それではまた、何かの機会に。
ちゃお!

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東京を拠点に活動する劇団、十七戦地です。

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