『花と魚』構想ノート開封・その2「登場人物と出会う」
こんにちは、脚本・演出担当の柳井です。
『花と魚』の構想ノートを公開するこのコーナー、
今回は「登場人物」にまつわるページをご紹介しようと思います。
物語の芯である主人公をはじめ、
主人公とは真逆の立場にあるシャドー、
主人公を助けるバディや導く役割を担うメンターをどのように構想していったのか。
さっそくノートをめくってみましょう。
ぱらり。
じゃん! いきなり図が出てきました。
黄色い付箋には登場人物の名前が書かれていて、それぞれを線や記号で結んでいます。
いわゆる人物相関図です。
付箋の数は10枚。つまり物語には10人が登場する予定だったようです。
決定稿では11人が登場しているので、この段階では一人少ないわけです。
ではなぜ11人になったのか。
シナリオ学校の先生が「登場人物の数は奇数の方が面白い」とおっしゃっていました。
たぶんそれが影響しているのでしょう。
実際、奇数だと均衡がとれず、人物同士の葛藤を生み出しやすいのです。
この時点での構想と、決定稿の違いの一つに、登場人物の関係性の違いも上げられます。
決定稿では叔父-甥の間柄である大次と大和が、
この段階では三人兄弟の長男と次男で、「大三(ひろみつ)」という弟までいることになっています。
この相関図は結構便利で、付箋に登場人物の名前を書き、
あとは気が済むまであっちへ貼ったり、こっちへ貼り直したりを繰り返します。
そうすると思いも寄らぬ関係性が見えてきて登場人物の人生が炙り出されてきます。
さて、こうしてある程度の人物の枠組みが出来たところで一人一人設定を作り込んでいきます。
それがこちら、じゃん!
登場人物カードですね。
今はノートに書き留めていますが、
この頃はカードに人物の履歴や性格、価値観などを書き込んでいたようです。
『花と魚』の主人公・酒田七生はこの時の設定では魚類行動学者。
物語のヒロインであり反・主人公の比嘉野 花と幼い頃に生き別れた兄、という設定だったようです。
兄妹であることを知らずに出会った二人は恋に落ち……という展開を考えていたようです。
(決定稿には一ミリも反映されていません)
ノートをめくると、この後も二度、相関図や人物設定を作り直しています。
こうして登場人物と出会えたら、今度はお話の筋=プロットの作成です。
山あり谷ありの物語をいかに構築していったのか、
次回の構想ノート開封にてご紹介致します。
ではでは、ちゃお!
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