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【柳井祥緒の構想ノート】脚本の書き方3「本を読む」

こんにちは、十七戦地の脚本・演出担当の柳井です。
「獣のための倫理学」もおかげさまでご好評を頂きながら公演期間の折り返しを迎えました。
練って盛って削いで研ぎ澄まさせて、もっともっと濃厚で鋭い、熱い作品に高めて参りますので、ぜひぜひ劇場へ足をお運び下さい。
さて柳井祥緒の構想ノート、3回目にして最終回は「本を読む」です。
作品構想時にはとにかく本を読みまくります。
作品に直接関係するものから、一見そうではないものまで、一つの作品を書き上げるのに何十冊と読んだり目を通したり。
今回はその中でも、上演脚本完成の最後の瞬間まで手元に置いていた3冊をご紹介します。

●片田珠美「無差別殺人の精神分析」

秋葉原や大阪池田小、あるいはコロンバイン高校などで実際に起こった無差別大量殺人の犯人の精神分析を行うことで、同じような事件を防ぐために何が出来るかを模索するのが本書の目的です。
無差別大量殺人を起こした犯人に共通する特徴を元に、論理的に解決策を探す筆者の姿には痛みすら感じます。
さらに導き出された結論と、それに対する筆者の覚悟は壮絶で、読後に残る余韻はドストエフスキーの小説にも似ています。
筆者の片田珠美さんは「獣のための倫理学」の登場人物の一人、市川玲子のモデルにもさせてもらいました。
●レイモンド・J・コルシニ「心理療法に生かすロールプレイング・マニュアル」
タイトル通り心理療法のためのロールプレイングを行うためのマニュアルです。
具体的かつ分かりやすい事例を元に、ロールプレイング療法がどのように行われ、どのようなことが起こるのかを教えてくれます。
ただ、外国の事例集ということもあり、いきなり読むとイメージがつかみにくいかもしれません。
柳井は取材のためサイコドラマ(ロールプレイング療法の一種)のワークショップに参加してから読んだので、すごく腑に落ちました。
ご興味のある方は併せてワークショップに参加した方がより楽しめるかもしれません。
●飯城勇三「エラリー・クイーン論」
アメリカ探偵小説の大巨匠にして20世紀最高の小説家エラリー・クイーンの作品を分析した最高の評論集。
唯一無二のエラリー・クイーンがどのように論理的推理小説を生み続けたのかを丁寧に解き明かしてくれます。
つまり「論理的推理小説を書くマニュアル」のような側面を持っているわけです。
この本を何度読み返し、何度助けてもらったか。
そしてエラリー・クイーンの手際の前に何度挫折し、無力感と絶望の中であがいたか。
ちなみに本書にはエラリー・クイーンのもう一つの武器「あやつり」という特殊なテーマを解析した章があり、こちらにも大きな影響を受けています。
以上、駆け足ながら三冊をご紹介致しました。
こんなにも面白い本に支えられて「獣のための倫理学」は作られています。
それがどんな成果物を生み出したか。
ぜひ劇場にてお確かめ下さい。
脚本・演出 柳井祥緒

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