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終演のご挨拶~小林・ジグジグ編~

遅くなりましたが。3/27にジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン(団体名、長いな)11th.zig

「石を投げる女がいて」

無事終演致しました。気づけば公演終了から2週間。開花宣言だった桜も散ってしまいました。こりゃ遅いですね。特に忙しかったわけではないのですが。ぼんやりしていたら時が過ぎていました。毎回思うことですが公演前の1週間と公演後の1週間では時間の流れ方が違う気がします。物理学者に研究してもらわなければ。

面白い冗談はさておき。”無事”という言葉が身に沁みます。

大昔、初日を迎えた舞台に先輩が「初日おめでとうございます」と連絡をくれたのですが、当時の私にはいまいちピンときませんでした。”初日が迎えられない” なんで微塵にも思っていなかったのですね。しかし公演中止や延期を日常的に見かける世の中になり、”初日を迎えられるありがたさ” を痛感しています。

そしてコロナ禍での演劇を作る大変さも痛感しました。

コロナ禍になってからの演劇は昨年のトツゲキ俱楽部さんに続いて2度目なのですが、今回は完全Wキャストということで別の大変さを感じました。Wキャストはコロナ対策なので万が一陽性者(濃厚接触者)が出ても公演中止を回避できる点で安心感があります。自分が当事者になっても中止にしてしまったという心の負担が減るわけです。(コロナで中止になった公演の当事者を責める意味はありません)

しかしWキャスト(コロナ禍)だと、稽古時間が半分になるわけです。コロナ前は逆チームの稽古を見て切磋琢磨もできたのですが、それはできません。稽古場で一堂に会することもNGなので稽古終わり30分で退室、その後逆チームが入室となります。準備等々をしているとあっという間に稽古開始。アップの時間もままなりません。またダメ出しが両チーム共通の場合、コロナ前ならその場で共有できますが、今回はグループLINEを使ってとなります。話せば簡単なことも文字にするのは大変です。

これは劇場に入ってからも続くわけで、それはそれでネタ(話題)があるのですが、長くなるので割愛しますね。

劇場に入って音、明り、装置など本番のものを使用する稽古(場当たり)でようやく逆チームの仕上がりを見るのですがなんだか不思議でした。知っている台詞、知っている展開が目の前で行われているのに出ているのは馴染みのない人。パラレルワールドを見ているような夢を見ているようなそんな感じでした。

今回の役柄は「あの時ああすれば良かった、選択肢を間違えた、ボタンを掛け違えた」という想いを持っていました。いくつもの分岐点があり(それはどの人生でも同じなのですが)どこまで戻れば回避できただろう・・。と思っていたのですが「あったかも知れない幸せな結末」を考えていたので余計パラレルワールドのように思えたのかもしれません。貴重な体験でした。

稽古序盤、演出の堤さんが「登場人物は没入して俯瞰している人がいない」という話をしました。皆、自分の周りの出来事に一生懸命、ときに翻弄され知らず大きな流れに呑まれていく。それがいつしか対立構造になってしまう。という物語にしたかったのだと思います。その中で「下平(私の演じた役)はかろうじて少し俯瞰している」と指示されました。俯瞰というより傍観・事なかれ主義のため結局大きな流れを止めることをせず後悔が残るのです。

最後ロッジへ突入するくだりは毎回袖から見ていたのですが、初日になって

「ああ自分はこの光景をTVの画面を通して見ているのだな」

と感じました。あの山荘事件やあの宗教団体の本拠地へ突入する映像をイメージしながら、TVの中の大事件と我が村で起きている現実の落差に混乱しながら「なぜこうなったのだろうか?」と自問自答していました。
そして後味の悪いまま騒動後一月(という設定でした)のシーンへと向かうわけです。

各キャラクターがどれだけ深く掘り下げられるかが肝の芝居だったと思います。(いつも以上に)
その割にはもう少し時間が欲しいなと思う公演でもありました。

時間がふんだんにあった場合を想像しつつ、きっとそれでも「時間が欲しい」と思うのでしょう。

とにもかくにも38名のキャストそして全スタッフが一人も欠けず全ステージを終えられたことに安堵・そして感謝(各人の感染対策とある種の運に)しています。

ご来場、お返事、お気持ちもろもろありがとうございました。

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東京を拠点に活動する劇団、十七戦地です。

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